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Web de SHOUBU
Table&food Coordinate 
〜感謝そして祈り〜
メンバー : 父・母・長男・二男
ストーリー: 
 この春、社会人として第一歩を踏み出した長男。学生ながら成人式の節目を迎えた二男。わが家は今、まさに巣立ちの季節。
これまで健康で成長したことへの感謝。そして今後も真摯な態度で物事に臨み、実り豊かな人生を歩んでほしいとの祈りを込めて端午の節供の食卓を設えた。
節供にちなんだ食物や旬の恵みを生かしたお料理を戴きつつ、父親には大人のマナーを息子たちに伝えてもらおう。母親である私は、果たして正しく美しい食事の作法を二人の息子に体得させることができたのだろうか。
設えのポイント:
 日本人でありながら洋風の食卓に親しむ機会の多い息子たち。座卓に着き、日本の膳組に触れる機会を与えたいと考え、折敷に椀、向付、猪口、利休箸を配膳。グラス、取り皿は四人分をまとめて両端に置いた。中央には祝い肴。節供のお供物の粽は神仏のお下がりを頂戴する心を託して盛り付けた。今は亡き祖父母が好んで使っていた大皿や取り皿も次世代に知ってほしいと思い座卓に配置。高価な器とは無縁であっても、私にとっては世代をつなぐ大切な心結びの器である。リネン類は生成のテーブルクロスに青海波紋様のランナーとナプキンを使用。テーブルウェアを直線的な配置をすることで凛とした、男性の力強さを表現してみた。

端午の節供料理について
今回の「Web de SHOUBU」はコーディネートされたテーブルに、端午の節供に相応しいお料理を載せてご紹介している。美しい日本料理の献立と調理は、お料理「ほし」店主 星胞雄様にご協力頂いた。
薬 酒  菖蒲酒
供 物  
向 付
  鰹は、5、6月頃になると伊豆沖から房総沖に達し、鮮度の良いほどよく肥えたものが江戸市中に入荷した。そのことから目に青葉の季節がカツオの旬といわれるようになった。
お造りに添える辛味・薬味には古根生姜・にんにく・とき辛子などが調和する。白身魚の鯛には山葵が一般的に添えられる。これらは生食の際の殺菌作用・駆虫作用に効果がある。つまは刺身の盛り付けを助けるために使われる。けんも同様に用いられるが、特に材料の繊維を垂直切ったものを示す場合もある。献立の中では南瓜をたてけんとして使用し、大根は敷きづま、あしらいに大葉、矢羽根人参を用いた。
端午の節供にふさわしい飾りぎりが向付を一層ひきたてている。
〇 鰹のへぎ造り
〇 鯛の平造り
〇 車海老
〇 大根・南瓜・大葉・矢羽根人参
   ・辛子・山葵
椀 盛
  吸い物は日本料理の献立の初めに多く用いられ食欲を促し、後の料理を吟味させる重要な役目を持つ。
吸い口の香り、吸い味のよさ、椀種・椀妻の美しさや季節感が特に要求される。
 薄紅色の海老しん薯、翡翠色の豆腐に季節の筍が添えられ、弓とも剣ともみえる水前寺海苔と金箔の華やかさが端午の節供に相応しいお椀に仕上がった。
〇 海老しん薯
〇 翡翠豆腐(葛仕立)
〇 筍
〇 水前寺海苔
〇 木の芽
〇 金箔
祝 肴
  「竜門登鯉」は鯉のから揚げのあんかけとして一般的にも知られている。
先に鯉幟の項でも触れたが、竜門すなわち黄河の上流にある竜門峡の急流を遡った鯉は竜に化すという「竜門の鯉」の伝説によるもの。中国では黄河や揚子江などで天然鯉がとれるそうだが、日本の河川では全くみられなくなった。
「俎上の鯉」のたとえもあり、潔さが武士道の心意気と共通するところから鯉は武家時代に格式の高い魚として貴ばれた。室町時代から鯛とともに儀式魚として式包丁の材料とされている。
鯛を大位、鯉は小位と並び称された。
中国では祝宴に必ず用いる風習がある。
 節供にちなみ鯉を市場に求めたが、鯉ヘルペスが養殖場に発生し、入手が叶わず鯛の双魚あんかけとし、急流に見立てた青海波紋様のランナーに据えた。一尾は長男、他方は二男。覚悟の良いたくましい精神を持った男性として今後も成長を続けてほしいという願いを一皿に込めた。
〇 鯛の双魚あんかけ
  鯛・蓮根・筍・ふき・パプリカ・こごみ
  ・水前寺海苔
焼 物
  若鮎は香気があり、高雅な風味を備えていることから香魚とも呼ばれる。
タデの旬は鮎とともにあるといわれ、季節の出会いの代表的な組み合わせといえる。タデの種類は非常に多いが、料理には葉の形が柳のように優美なヤナギタデが用いられる。タデ特有の辛みが若鮎のおいしさをひきたてる。躍動感あふれる鮎の姿形にタデのさ緑が美しく映える。掻敷としてタデが用いられ盛付けに景色を添えている。掻敷とは古くは料理、食物を盛る器や神饌(しんせん)に敷く木の葉や葉つきの小枝・紙のこと。木の葉に食物を盛ったことから生じたといわれ、現在は仕切りとして使用されたり、季節感や料理の趣きを持たせるのに用いられる。
〇 若鮎たで味噌焼き
  稚鮎・たで
進 肴
 木の芽(一般にサンショウの若葉)みそを衣にした和えもの。木の芽だけでは緑色がきれいに仕上がらないので青寄せをして色素を加える。「筍」の文字は分解すると「竹」と「旬」に分かれる。一旬すなわち十日たつと竹になってしまうほど育つという説も流布するところから男子がスクスクと成長することを祈って端午の節供の献立に取り入れて頂いた。独活・貝柱との相性も良い。
作り方はこちら→
〇 木の芽和え
  筍・独活・貝柱・玉あられ
焚 合
  2種類以上の煮物を器に盛り合せた料理。
材料それぞれの持ち味を生かすために別々の鍋で煮るのが原則。炊き合せる材料を決めるには、まず主材料を定め、主材料と交互に味わってこそ味の引き立つ材料を選び、味の濃淡、色の取り合わせ、材料のかたさ、香りの強弱等を考慮する必要がある。一寸豆とは一寸蚕豆(いっすんそらまめ)ともいう。五月頃を旬とするので五月豆(ごがつまめ)の異称も持つ。
莢の形が蚕に似ていることから蚕豆の字が当てられた。
蛸の柔煮と若葉の形状の南瓜の旨煮、そして浅緑色の一寸豆、それぞれの持ち味が生かされ各々の素材を引き立てあう焚合に仕上がった。
〇 蛸柔煮
〇 若葉南瓜旨煮
〇 一寸豆

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